はじめに
お仕事や大学の研究等で以下のようなshapeデータが欲しいなあ・・・と思うことありますよね?・・・ありますよね?(圧)
こんなデータが欲しい
・全国の等高線のラインデータ
・全国の建築物(住宅)のポリゴンデータ
・全国の河川、湖沼のポリゴンデータ
・全国の道路のポリゴンデータ
地図を構成する大部分の要素であるこれらのデータは、大変ありがたいことに”無料”で利用できます。
この記事では、基盤地図情報の使い方を写真付きで簡単に紹介します。
基盤地図情報とは?
そもそも「基盤地図情報」とはなんぞや?と感じる方も多いでしょう。
「基盤地図情報」は皆が共通の位置の基準を用いるための電子地図データとして国土交通省が提供しているGISデータとなります。
基盤地図情報とは
❝現在、様々な地理空間情報は、国や地方公共団体、民間事業者等の様々な関係者によって、それぞれの目的に応じて整備されています。こうした地理空間情報は、それぞれが一定の精度を確保しているものの、その精度の範囲の中ではズレが生じます。このため、様々な地理空間情報を重ね合わせて利用しようとしても、微妙にズレてしまいます。 例えば、ある行政機関において道路管理部門が整備した道路形状の情報と、税務部門が整備した建物形状の情報を重ね合わせると、道路上に建物が飛び出してしまったりして、うまく利用することができないことがあります。また、隣り合う2つの地域の地理空間情報をつなぎ合わせようとしても、微妙に接合しないこと も生じます。
こうしたことを防ぐためには、地理空間情報を整備する際に、皆が共通の位置の基準を用いることが必要です。「基盤地図情報」とは、電子地図における位置の基準となる情報のことです。基盤地図情報と位置が同じ地理空間情報を、国や地方公共団体、民間事業者等の様々な関係者が整備することにより、それぞれの地理空間情報を正しくつなぎ合わせたり、重ね合わせたりすることができるようになります。この結果、地理空間情報をより一層効率的に、高度に利用することが可能となります。❞
(基盤地図情報HPより)
みんなが色々な基準のデータを用いて研究、調査等を行うと、地理空間情報のズレによる解析への影響が出てしまうので、みんなで共通の基準のデータを使用しよう、ということですね。
似たようなデータとして国土数値情報のデータがありますが、主な違いは以下の通り。
国土数値情報と基盤地図情報の主な違い
・国土数値情報は河川や道路等のデータがラインデータとして表現されているが、基盤地図情報はポリゴンデータ
⇒基盤地図情報はポリゴンデータなので、面積の計算等が利用できる
・国土数値情報は河川、湖沼、道路等の属性データに名称等細かくデータがあるが、基盤地図情報は種別や管轄などの簡単なデータのみ
⇒名称等のラベル表示をしたい場合は国土数値情報の方が楽にできる
・基盤地図情報には建築物のポリゴンデータがある。
⇒環境アセスメント等における事業影響範囲内の住宅数等の算出に利用できる
国土数値情報の使い方は以下を参照⇩
基盤地図情報の使い方(利用者登録)
それではさっそく使い方を学んでいきましょう。
まず、基盤地図情報ダウンロードサービスへアクセスします。
基盤地図情報ダウンロードサービスへアクセスすると、下記のような画面になると思います。
まずは上段のタブから「利用者登録」を選んでクリックしてください。
次の画面では「新規登録」をクリック。
個人情報等の取扱いについてを読みながら下にスクロール。
同意にチェックを入れ、「進む」をクリック
個人情報登録画面になったら、必要事項を入力していきます。
入力が終わったら「登録確認」をクリック。
内容確認したら「登録する」をクリック
登録したメールアドレスに下記の仮登録のメールが来るので、メール内の本登録のURLをクリックして本登録を進める。
そうすると本登録のメールが来ます。
本登録のメールの最後に自分で設定したIDと初期パスワードが記載されています。
基盤地図情報ダウンロードサービスのページへ戻り、先ほどのIDとパスワードを使ってログインします。
ログインすると「パスワードの変更」ができるので、自身が使いやすいパスワードに変更しましょう。
パスワードの変更が完了すれば、利用者登録は完了です。次のステップへ進みましょう。
基盤地図情報のデータダウンロード
先ほどの利用者登録でアカウントを作成したと思うので、そのアカウントでログインした上でいよいよデータをダウンロードします。
基盤地図情報ダウンロードサービスへアクセスし、中段の「基本項目」の「ファイル選択へ」をクリックします。
下記のような日本全体が写った地図が表示されると思います。
必要なエリアを選択します。
今回は例として北海道の奥尻島のデータをダウンロードしたいと思います。
該当する6メッシュを選択します。
選択したら「ダウンロードファイル確認へ」をクリック。
ダウンロードファイルリストが表示されたら、①全てチェックを押した後、②まとめてダウンロードをクリック。
するとダウンロードが進むと思います。これでとりあえず元となるデータはダウンロード完了です。
※このままではシェープファイルとして利用できないので注意
基盤地図情報ビューアの使い方
さて、先ほどダウンロードしたデータはまだ各種データが格納された圧縮データ状態です。
これをシェープファイルとして利用するには別途「基盤地図情報ビューア」というソフトが必要です。
「基盤地図情報ビューア」をダウンロードしていきましょう。※安心してください、無料です。
基盤地図情報ダウンロードサービスのページの「各種資料」のタブをクリック。
下にスクロールして、「基盤地図情報ビューア」をクリックすると、勝手にダウンロードが始まります。
「FDGV」という名前の圧縮ファイルがダウンロードされたと思うので、クリックして解凍します。
下記のポップアップが出ますが、問題ないので「すべて展開」をクリック
展開先の場所を選んであげて、「展開」をクリック
すると、指定した場所に「FDGV」のアプリケーションファイルが展開されたと思います。
「FDGV」のアプリケーションをクリックしましょう。
基盤地図情報ビューアが起動したかと思います。
上段の左端の紙のアイコン(新規プロジェクト作成)をクリックします。
下記のウィンドウが出たら、以下入れていきます。
①プロジェクトのタイトルは好きなものにしてください。
②先ほど基盤地図情報ダウンロードサービスからダウンロードしたZIPデータを選択
※デフォルトで「PackDLMap」というファイル名になっていると思います。
③保存先はお好きなところを指定してください。
①~③を入力したら、「OK」をクリック。
先ほどダウンロードしたエリアの地図が表示されたかと思います。
今回は北海道の奥尻島のエリアをダウンロードしたので、奥尻島が表示されました。
このままだとごちゃごちゃしているので、表示を整理しましょう。
「設定」タブの「表示設定」をクリック。
表示設定のウィンドウがでたら、一旦形状と名称等の表示をすべてOFFしましょう。
その上で、今回必要な情報のみに絞っていきます。
今回は形状の基準点、標高点、行政区画代表点はいらないため、チェックを外します。
また、名称等は全て非表示にしました。
表示の選択が完了したら、「閉じる」をクリック。
下記のようなシンプルな表示となったと思います。
これはあくまでこの基盤地図情報ビューアでの表示の問題です。
ただ、読み込ませたメッシュ数によってはこの表示設定をいじってあげないと表示に非常に時間がかかってしまうので注意です。
さて、いよいよシェープファイルをダウンロードしましょう。
「エクスポート」タブの「エクスポート」をクリック。
エクスポートのウィンドウが表示されたら下記に注意。
・変換種別は「シェープファイル」を選択
・直角座標系は該当エリアの座標系を選択
※ソフトが勝手に適切なものを選択してくれますのでいじらなくてOK
・変換する領域は「全データ領域を出力」を選択。
これは必要に応じて使い分けてください。選択範囲のみを出力も可能。
出力先のフォルダを選んであげたら「OK」をクリック。
下記の画面が出たらダウンロードが完了です。
ダウンロードの際、データの領域が広すぎるとダウンロードの途中で止まってしまう、落ちてしまうことがあるので
広範囲のデータが欲しい場合はエリアを小分けしてダウンロードしましょう。
基盤地図情報データの表示
さて、あとはQGISで表示するだけです。
QGISを起動します。
背景図に国土地理院の標準地図かGoole Mapsを表示しておくと分かりやすいです。
※背景図の表示方法についてはこちらの記事を参照↓
先ほどダウンロードしたシェープファイルをQGISへドラッグ&ドロップしましょう。
すると、ダウンロードしたエリアのデータがQGISへ表示されたと思います。
ちょっと引きすぎてよくわからないと思うので、近づいて見ましょう。
各シェープファイルの色の表示設定をちょっといじりましたが、こんな感じです。
等高線のほか、建築物の配置や形がわかります。漁港の形状も分かりますね。
これだけでももう立派な地図として使えますね。
背景の標準地図を重ねると地名や建物の名称が表示されて視覚的に分かりやすくなります。
あとは目的や用途に合わせて使用してみてください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
最初は使い方に慣れないかもしれませんが、上記のステップを理解したらあっという間に欲しいエリアのデータが利用できます。
非常に精巧なデータなので、使い方や組み合わせで多様な解析が可能かと思います。
基盤地図情報以外のシェープファイルと組み合わせて使用する場合は、座標系を合わす必要があります。
このあたりは追々また解説します。
まずはたくさん触って、QGISに慣れていきましょう。