こんなニーズに向けて発信します。
自分のお店や職場、家の場所を伝える時、アクセスマップがあると便利ですよね。
Googleマップで事足りるかもしれませんが、著作権的にも安心して使用できるマップを作っておけば何かと便利です。
そこで、今回の記事ではQGISでアクセスマップを作る手順をご紹介します。
QGISでアクセスマップを作ってみよう
それでは早速アクセスマップを作る手順を紹介していきます。
今回は、例として千葉県の松戸市役所のアクセスマップを作成していきます。
初めに、Googleマップで松戸市役所の所在地を確認しておきます。
Googleマップより
なるほど、江戸川の近くで松戸駅からほど近いところに松戸市役所はあるのですね。
もう少し拡大して建物を確認しましょう。
Googleマップより
この赤丸で囲った建物が松戸市役所ですね。これを頭に入れて置いて以下作業進めていきます。
アクセスマップの作成手順
- 「基盤地図情報ダウンロードサービス」で地図情報のダウンロード
- 「基盤地図情報ビューア」でシェープファイルへ変換
- 「国土数値情報ダウンロード」で駅、鉄道のシェープファイルをダウンロード
- 「QGIS」でデータを重ね合わせ、表示を整える
- 「QGIS」でマップをアウトプットする
「基盤地図情報ダウンロードサービス」で地図情報のダウンロード
まず、国土地理院が運営する「基盤地図情報ダウンロードサービス」のサイトへ行きます。
「基盤地図情報ダウンロードサービス」の利用者登録
「基盤地図情報ダウンロードサービス」のサイトへ行ったら、下記写真の赤枠の「利用者登録」を押します。
利用者登録のページに移動したら、「新規登録」をクリックします。
すると、規約に関する確認事項が表示されます。
内容確認の上、下にスクロールし、「上記内容に同意します。」にチェックを入れ、「進み」をクリックします。
個人情報登録画面が出るので、必須入力事項を埋めて、「登録確認へ」をクリックします。
内容確認画面が出ますので、入力が合っているか確認の上、「登録する」をクリックします。
登録したメールアドレス宛に仮登録のメールが届きますので、そのメールに記載されているURLをクリックし、本登録をしていきます。
クリックすると、本登録完了の旨の画面が出るかと思います。
そうすると、また登録したメールアドレス宛に本登録完了メールが届いております。
大事なのはこの本登録完了メールの下部に記載された初期パスワードです。
最初のログインに使いますので、忘れずにメモしましょう。
利用者登録が完了したら、「基盤地図情報ダウンロードサービス」のページへ再度移動し、右上の「ログイン」を押します。
先ほど登録したIDと初期パスワードを入力し、「ログイン」をクリックします。
ログインしたら、「パスワードの変更」をクリックして、お好きなパスワードに変更してください。
新しいパスワードが決まりましたら、「変更する」を押して変更を完了しましょう。
これで利用者登録は完了となります。
エリアの選択と地図情報のダウンロード
利用者登録が済んだら、基盤地図情報をダウンロードしていきましょう。
「基盤地図情報ダウンロードサービス」の「ダウンロード」のページにて、「基本項目」の「ファイル選択へ」をクリックします。
そうすると、日本列島が2次メッシュで網羅された画面に移ると思います。
左中央の「選択方法指定」にて、ダウンロードしたい市区町村を選びます。
※ここでは2次メッシュの解説はしませんので、詳しく知りたい方は環境省HPをご参考ください。
今回は千葉県の松戸市役所を例としておりますので、松戸市を選択します。
すると、松戸市が含まれる2次メッシュが4つ選択されると思います。
今回は、松戸市の中央部が含まれる「533957」メッシュのみダウンロードすれば事足りるため、残る3つは選択解除します。
※選択メッシュが多いほどデータが大きくなり、後々表示に時間がかかるため。
メッシュの選択が終わったら、「ダウンロードファイル確認へ」をクリックします。
ダウンロード画面に移るので、ダウンロードしたいファイルにチェックを入れ、「ダウンロード」をクリックしてデータをダウンロードします。
ダウンロードしたファイルはZIP形式ですが、解凍せずにそのままで良いです。
これで基盤地図情報のダウンロードは終わりです。
「基盤地図情報ビューア」でシェープファイルへ変換
続いて、ダウンロードした基盤地図情報をQGISで使用するため、シェープファイルへ変換していきましょう。
※シェープファイルが分からない方は以下記事をご参照ください。
「基盤地図情報ビューア」をダウンロード
前項の基盤地図情報をダウンロードする画面にて、上に「基盤地図情報ビューア」のリンクがありますので、それをクリックしてダウンロードします。
ダウンロードしたファイル「FGDV」が確認出来たら、基盤地図情報ビューアのダウンロードは完了です。
ダウンロードした基盤地図情報ビューアを開く
ダウンロードした基盤地図情報ビューア(FGDV)を開き、アプリケーションを一度起動します。
すると、基盤地図情報ビューアのアプリケーションが表示されますので、クリックして起動します。
この画面が立ち上がったら基盤地図情報ビューアの立ち上げ完了です。
基盤地図情報をシェープファイルへ変換
それでは先ほどダウンロードした基盤地図情報を開きたいと思います。
ビューアの左上の白い紙のアイコンをクリックし、新規プロジェクトファイルを作成します。
ここでは、プロジェクトのタイトルは「松戸市役所へのアクセス」とします。
タイトルを決めたら、右下の「追加」をクリックします。
先ほどダウンロードした基盤地図情報のZIPファイルを選択します。
正しくファイルが選択されているかを確認したら、右上の「OK」をクリックします。
少々開くまで時間がかかると思います。PCのスペックで結構変わってくるかもしれません。
開くと下図のように、一見するとカオスなものが表示されると思います。
表示されたら、ツールバーのPC画面のアイコンをクリックし、表示設定をいじります。
デフォルトだと形状の表示、名称等の表示が下図のような設定になっているかと思います。
どのような目的でデータを使うかで表示・ダウンロードするデータは変わってきますが、今回は松戸市の中心部のごく一部のみ表示するだけなので、行政区画等の情報は不要なのでチェックを外します。
はい、今回は等高線、水域、水涯線、水部構造物線、水部構造物面、建築物、道路縁の7つのデータのみにチェックを入れます。
名称等は全て非表示にします。そしたら、右下部の「閉じる」をクリックしましょう。
先ほどの表示よりだいぶ見やすくなったと思います。
そしたら、データをシェープファイルへ変換していきます。
上部タブの「エクスポート」をクリックしましょう。
エクスポート画面が開いたら、出力先のフォルダを指定し、変換種別を「シェープファイル」とし、変換する領域を「全データ領域を出力」として「OK」をクリックしましょう。
変換する要素の部分は、上記の表示のチェックを入れているものにチェックが入っておりますので、ここでは特にいじりません。
※変換する領域は、任意の選択領域でも可能です。全データ領域とするとデータが重くなるので、場合に合わせて選択してください。
無事エクスポートが完了すると、下図のような画面が開きますので「OK」をクリックしましょう。
これで基盤地図情報のシェープファイルへの変換は完了です。
QGISに基盤地図情報をのせてみる
前項でエクスポートしたシェープファイルをQGISにのせてみましょう。
「.shp」形式のファイルのみ選択して、QGISへドラッグアンドドロップします。
すると、投影座標系について選択する画面が出るかと思いますが、これはQGISのプロジェクトのCRSに合わせる必要があります。
ただ、下図のように勝手にプロジェクトのCRSに合わせて推奨される変換が選択されますので、基本的に選択されているものを選んで「OK」を押せば大丈夫です。
基盤地図情報をのせると、こんな感じになります。各シェープファイルをのせた時の表示色についてはランダムに決まりますので、このようにおぞましい色合いになることがあります。
表示色については、各レイヤのプロパティを開いて、シンポロジのタブで変更できます。
てなわけで、センスがあるなしは置いておいて、僕なりに色を変えて少し見やすくしました。
これで基盤地図情報をQGISへのせる作業は完了です。
※座標系が分からない方は以下記事をご参照ください。
「国土数値情報ダウンロード」で駅、鉄道のシェープファイルをダウンロード
前項の基盤地図情報だけでは、鉄道や駅の情報が無いため、別途国土交通省が運営する「国土数値情報ダウンロード」のサイトよりシェープファイルをダウンロードします。
駅、鉄道のshapeデータをダウンロード
まず、「国土数値情報ダウンロード」のサイトへ移動します。
下にスクロールしていくと、交通の欄に「鉄道(ライン)」があるのでクリックしましょう。
すると、「鉄道データ」のページへ飛びます。下にスクロールしていきましょう。
いま現在、最新版である平成30年のデータをダウンロードします。
ダウンロードマークをクリックして、ダウンロードできたら完了です。
QGISに駅、鉄道データをのせてみる
国土数値情報よりダウンロードした駅、鉄道のシェープファイルをQGISにのせてみましょう。
「.shp」形式のファイルを選択し、QGISへドラッグアンドドロップします。
先ほど同様、投影座標系の変換について出ますが、「OK」で大丈夫です。
すると、QGISに線路と駅がのりました。ぱっと見では全然わからないですね。
なので、各レイヤのシンポロジをいじって見やすくしましょう。
いかがでしょうか。駅は駅らしくなりましたし、線路はもう完全に線路ですよね。
これで国土数値情報のデータをQGISへのせる作業は完了です。
「QGIS」でデータを重ね合わせ、表示を整える
ダウンロードしてきた基盤地図情報や国土数値情報を重ね合わせ、表示を整えていく作業に移ります。
データの重ね合わせ
とりあえずこれまでダウンロードしたシェープファイルを全て重ね合わせ、表示させます。
下図のようになると思います。
駅と鉄道にラベルを表示
このままでは流石に味気ないので、駅と鉄道にラベルを表示しましょう。
駅レイヤ、鉄道レイヤのそれぞれの属性テーブルを確認します。
鉄道レイヤの属性テーブルを見ると、「N02_003」フィールドに鉄道名が入っていることが分かります。
そしたら、鉄道レイヤのプロパティを開き、ラベルのタブに移動します。
ラベルの表示定義は「単一定義」を選択し、値は鉄道名の情報が入っていた「N02_003」フィールドを選択します。
ついでに、下のバッファタブで「テキストバッファを描写」にチェックを入れます。これで「OK」しましょう。
すると、下図のように鉄道名が線路に表示されました。
ちゃっかり建物の色も変えちゃってますがお気になさらず。
駅についても同様の手順でラベル表示させます。
これで駅、鉄道のラベル表示は完了です。
※余談ですが、駅レイヤの属性テーブルには駅名に「駅」がついていなかったため、ラベル表示の段階で少し手を加えて「駅」が語尾について表示されるようにしましたが、その方法はまた別の機会に。
対象物の属性テーブルに情報追加して色分け
それでは、今回例とした松戸市役所を目立つように色分けしたいと思います。
下図の赤丸の建物が松戸市役所ですね。
建築物のレイヤを選択した状態で、ツールバーの鉛筆マークを押して「編集モード」に切り替えます。
そしたら、地物を選択モードにし、松戸市役所の建物を選択します。
編集モードで選択されると、地物は黄色にハイライトし、各頂点に赤いバツ印がでます。
編集したい地物を選んだら、建築物レイヤで右クリックし、属性テーブルを開きましょう。
属性テーブルを開いたら、新規フィールドの追加を押し、情報を入れたいフィールドを追加します。
フィールド追加画面が出たら、フィールド名を入力し、タイプを選択して長さを決めます。
ここでいうタイプとは、そのフィールドに入れたい情報が整数値なのか、小数点の数値なのか、文字列なのかといったことを示しているので、今回は「松戸市役所」という建物名を入れたいので「テキスト(string)」を選択します。
長さは、タイプをテキストと選択した場合、文字数という意味になるので余裕を持って30とします。
新規フィールドを追加出来たら、選択した地物のみの属性を表示させ、編集しやすくしましょう。
属性テーブルの左下の「全ての地物を表示」と表記されているタブをクリックし、「選択した地物を表示」を選びましょう。
すると、下図のように選択された地物のみの属性が表示されるので、先ほど追加した「建物名」のフィールドに「松戸市役所」と入力します。
属性テーブルへの入力が終わったら、鉛筆マークを再度クリックし、編集を保存して編集モードを終了しましょう。
そしたら、建築物レイヤのプロパティを開き、シンポロジのタブへ移動して、表示定義を「カテゴリ値による定義」を選びます。
値は「建物名」のフィールドを選びましょう。
その上で、下の「分類」を押すと、データを入力した松戸市役所とその他の二つの凡例ができると思います。
シンボルを適切な色に変えれば準備完了です。
右下の「OK」をクリックしましょう。
こんな感じになります。松戸市役所だけ色が変わってだいぶ目立つようになりましたよね。
「QGIS」でマップをアウトプットする
QGIS上で見た目を整える作業は終わりましたので、いよいよマップとして最終的にアウトプットする段階の作業へ移ります。
印刷レイアウトを作成
印刷して出力できるように、印刷レイアウトを作成します。
プロジェクトタブから「新規印刷レイアウト」を選んでください。
タイトル作成の画面が出ると思います。好きにタイトルを決めてください。
すると、印刷レイアウトの画面が開きます。
左のツールから、白い紙のアイコン(地図を追加)をクリックしましょう。
描写モードになると思いますので、地図を載せたい範囲をドラッグしましょう。
描写範囲を確定すると、その範囲に現在プロジェクトに表示されている領域の地図が表示されると思います。
右下のアイテムプロパティから、フレームにチェックを入れて枠線を表示させます。
続いて、アイテムプロパティの縮尺を調整しましょう。
下図だと若干引きすぎているので、少し拡大します。
縮尺を1800にしたところ、良い感じとなりました。
凡例等を追加
続いて、凡例等を追加していきます。
左のツールバーからスケールアイコンをクリックします。
アイテムの配置を選択する画面が出ますが、どうせすぐいじるので適当にOKで大丈夫です。
追加すると、セグメントが2つしかない何とも不甲斐ないスケールが出現します。
右下のアイテムプロパティのセグメント数と固定幅をいじりましょう。
セグメント数を5、固定幅を50にしたところ、良い感じになりました。
次に、方位記号を入れていきたいのですが、デフォルトの方位記号は非常に分かりづらいので、フリーの方位記号画像を取得しにいきましょう。
おすすめはこの「間取職工所」さんです。
下にスクロールして、お気に入りの方位記号を決めたらクリックします。
クリックすると、ダウンロードのファイル形式が選べますので、「png」を選択します。
するとすぐさまダウンロード完了となります。
そしたらまたレイアウトの画面で、左のツールバーから風景画のアイコン(画像を追加)を選択します。
描写する範囲を選択すると、四角い枠が出現しますので、右のアイテムプロパティから画像のソースを選んで画像を表示させます。
四角い枠内での配置もアイテムプロパティで選択できます。
方位記号が無事入ったら、今度は凡例を入れます。
左のツールバーから凡例アイコン(凡例を追加)をクリックします。
すると、現在プロジェクトで表示になっているレイヤが全て凡例として出てくると思います。
表示するものを取捨選択したいので、アイテムプロパティの自動更新のチェックを外します。
ここでは「松戸市役所」の凡例だけで大丈夫なので、不要な凡例は消していきます。
不要な凡例を選んでマイナスのアイコンを押せば消せます。
大元のレイヤ名もいらない場合、レイヤ名を選択して右クリックし、「非表示」を選択すれば消えます。
凡例のシンボルや文字のフォントとサイズもアイテムプロパティからいじれます。
ここではもう少し大きくしたいと思います。
さて、あとは細かい情報を付与していきます。
左のツールバーからラベルの追加アイコンをクリックし、「※松戸駅東口下車徒歩5分です」という文を追加します。
次に、左のツールバーからノードアイテムを追加アイコンをクリックし、松戸駅から市役所までの最短ルートを矢印で示してあげます。
以上で印刷レイアウトを整える作業は終了です。
画像データとして出力する
完成したレイアウトを、画像として出力したいと思います。
レイアウトタブから、「画像としてエクスポート」を選択します。
すると保存先を選択する画面が出ると思いますので、お好きなところを選択してください。
出力された画像が下図です。
これでアクセスマップは完成です。長々と付き合ってくれた方、本当にお疲れ様でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
かなり長かったとは思いますが、この一連の作業ができるようになれば一つ技術を覚えたといって良いでしょう。
自分のお店や会社の所在地を知らせるためのマップを是非自分で作ってみてください。
ご依頼くだされば僕の方でも作成対応させて頂きます。
QGISを活用していきましょう。